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地域通貨やワット取引きでの「契約」の内容やプロセスについて

yuuji <[email protected]>

(典型的な契約)
民法に規定されている契約の類型は13種類あって、
これらを典型契約、または、有名契約といわれています。
贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、
委任、寄託、組合、終身定期金、和解の13種類です。
もともと契約については、契約自由の原則があり、人は
どのような契約でも自由に結べるのですが、民法で
契約の類型を定めて、権利関係の基準を示したものと言えます。
また、これら以外の契約は、非典型契約または、
無名契約といわれています。
実際の場面では、これらの典型例の複合契約が多いと思います。

(契約自由の原則)
契約自由の原則とは、憲法第13条に規定された個人の尊重、
生命、自由、及び幸福追求に対する国民の権利から導き出され、
この原則は、「所有権絶対の原則」、「過失責任の原則」とともに、
近代私法の3大原則と呼ばれています。
内容としては、次の4つの自由にわけられます。

(1)契約締結の自由---契約するかしないかは自分で決められる。
外部から、または契約の相手からどんな強制もされない自由。
さらにこの自由は、a)申込の自由と、b)承諾の自由とにわけられる。

(2)契約相手方選択の自由---誰と契約をするかを選ぶ自由。
特定の人だけと契約すべきという拘束を受けない。だれと契約するかは
自分で決められる自由。

(3)契約内容決定の自由---当事者間の合意があれば、どのようにでも
契約の内容を決められる自由。

(4)契約方式の自由---契約は原則として双方の合意だけで成立し、
特定の方式を必要としない。いわゆる「口約束も契約」として有効。


(売買契約について)
商品購入の際に行われる「売買」契約では、
一方は「もの」の所有権、もう一方は「お金」の所有権を交換することで
双方がそれぞれの所有権を引き渡せば契約は完了します。
この時、販売者と購買者は、お互いに債権、債務の関係にあることから、
双務契約ともいいます。
(逆に一方的に贈与する場合は片務契約という)

双務の意味をさらに細かく言うと、
ある物ZをAは「買う」といい、Bは「売る」といいますと
契約が成立し(口約束も契約のうち)、物の引き渡しの前にすでに
Aは、Bに対して、Zの所有権を得る債権(権利)を持つと同時に、
Zの価格に相当する「お金」の所有権を、Bに引き渡す債務(義務)を負う。

同様に
Bは、Aに対して、Z価格の「お金」の所有権を得る債権(権利)と
Z商品をBに引き渡す債務(義務)を負うわけです。
売買行為の双方が同時に物とお金の引き渡しの債務(義務)と
引き渡される債権(権利)の関係にあるのを表わした言葉が双務契約です。

販売者は「これを売ります」
購買者は「これを買います」という合意が成立したときに
売買契約が始まりますが、値付けされた商品が並んでいる店頭では
瞬時に契約完了までいきます。
しかし、通信販売における遠隔地取り引きや土地の売買などはどうでしょう。
または、メンテナンス業務等「役務の提供」の契約は、
完了までさまざまな段階を経ますし、時間の経過もあります。

地域通貨による取り引きについて、
ものやサービスを提供して相手からもらったポイントは
「地域通貨はお金の決済機能がある」と言いますが、
はたして決済したことになるのだろうか?という疑問がでてきました。

地域通貨の取り引きの基本にあるのは、物々交換ですから、民法に言う
典型契約のうちの交換契約になります。
交換契約は有償契約なので売買の規定が準用されます。
正確にいうなら、「仮の決済」で、販売者はものを引き渡した相手からの
反対給付としての具体的債務はまだもらっていないと言えます。
もらっているのは「将来、あなたに請求する権利」です。
(ここが重要。結論を先にいうと、)

通帳などの「誰もが発行できて」「ポイントの変動」で債権債務の
バランスをあらわす方式では、個人通帳にあるマイナスのポイントは
「全体の合意」によって、メンバー全員に対する「債務」約束であるわけです。
プラスのポイントは全体に対する「債権」です。
ポイントには記名がなされないですから。
発行者不明の債権をプラス保有者は持つわけで、マイナス保持者に対して
有効期限がなかったり、グループが解散する前提として清算取引きに入らない限り、
償還強制力は働きにくい結果となります。

これに対して、振り出し人明記のWAT借用書タイプを使う場合、
債務者が特定されていて、しかもその券そのものに権利が明記されているので
償還(清算)取引きが求めやすく、
券やシステムに対する信用が計りやすい、ことになります。


次回、契約の進行プロセスを少し追ってみます。

 


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